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前立腺がん検診と死亡率

前立腺がん死亡率

国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」

前立腺がんの死亡率は2005年をピークに徐々に減少しています。これは前立腺がん検診の普及によるところが大きいとされています(※)。

(※)死亡率が減ってきたのは治療法が進歩したためと主張する人もいます。しかし、死亡率に影響を与えるような画期的な治療法は、残念ながら1991年、92年のホルモン剤(LH-RHアナログ)以来出ていません。近年に出てきた小線源療法、重粒子線治療、ロボット手術は局所療法であり、これらの治療が適応される前立腺がんは早期であり、もともと相対5年生存率が100%でした。これらは死亡率の減少効果よりQOLの改善効果が大きい治療と言えるでしょう。また2014年3種類の薬剤が新たに発売されましたが、これらの薬剤の適応は去勢抵抗性前立腺がんといって既存のホルモン剤が効かなくなった末期の前立腺がんです。残念ながらこれらの薬剤により大きな延命効果があるとは言えない状況です。以上を考えますと1998年ころから死亡率が横ばいになったのはLH-RHアナログ剤の効果、その後の死亡率の減少は前立腺がん検診の効果といえるでしょう(PSA検診の死亡率減少効果を確認した研究もあります)。

年齢調整死亡率:死亡率は死亡数を人口で割り算出します。しかし、人口の年齢構成が異なると死亡率が変わってしまい、治療法や検診の効果を昔のデータと比較したり、他の地域や他の国と比較したりすることができません。例えばがん(悪性腫瘍)は高齢者の病気なので、人口が高齢化すると自然と死亡率が上昇してしまい、昔の値と単純に比較できません。

そこで人口の年齢構成が同じになるように補正した死亡率を用いて比較します。この標準となる人口構成には「世界人口」とよばれるものと「昭和60年モデル」があります。 

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