特定非営利活動法人 前立腺がん啓発推進実行委員会
Prostate Cancer Education Council in Japan (PCEC-Japan)
我が国において、前立腺がんの新規罹患数は年々増加し、今年5月に公表された国立がん研究センターのデータでは2015年に年間9万8千人を超え、男性がんの中ではついに胃がんを抜いてトップになると予測されています。これまで2025年ころに新しく前立腺がんに罹患する患者数が10万人に達する見込みとされていたペースをはるかに上回る勢いで増加しています。
また、前立腺がんによる死亡者数も2015年には1万2千人を超えると予測されています。この予測もまたこれまで前立腺がんによる死亡者数は2015年に1万人とされていたペースを大きく上回るものになっています。
前立腺がんは血液検査でわかるPSA(Prostate Specific Antigen, 前立腺特異抗原)検査を行うことにより、転移のない早期の段階で発見できるがんです。また、前立腺がんは早期に発見し、適切な治療を行なえば、高い確率で根治が期待できるがんです。
しかし、リスクの高い状態で見つかった局所進行前立腺がんは、根治療法を行っても再発する可能性が高く、転移がんで見つかった場合には根治療法はもはや望めず、ホルモン療法や化学療法といった薬物療法を行うことになり長期にわたって患者は肉体的にも精神的にもさらには経済的にも苦しむことになります。
このPSA検査は、わずか1mLの採血で精度高く前立腺がんを見つけることができるのにもかかわらず、わが国ではまだその受検率は低く、中高年男性のわずか10%程度の人が受けているにすぎません。このため我が国では、より検査PSA受検率の高い欧米諸国よりもリスクの高い状態で前立腺がんが見つかるケースが多いとされています。
前立腺がんでの不幸な転帰を少なくするためにはこのPSA検査の普及が我が国において急務であります。
この法人は、広く一般市民に前立腺がんへの関心を高め、前立腺がんの早期発見、適切治療の重要性を理解してもらうことを目的として活動を行います。その第一歩であるPSA検査の受検率を高めて、前立腺がんで不幸な転帰をたどる患者を一人でも少なくすることを目的とします。具体的には、市民公開講座や無償PSA検査の実施、啓発のため印刷物の配布などによって前立腺がんへの関心を高め、PSA検査の普及促進と前立腺がんに対する正しい理解を得る活動を行います。
また、前立腺がん検診を推進している関係諸団体との連帯組織を構築し、交流・情報交換を積極的に行い、全国規模でこの活動が展開され、前立腺がんでは死なない社会の実現に寄与することを目的としています。
以上PSA無償検診や啓発のための公開講座の実施などの活動を推進しかつ継続的に実施するには、社会的な信用と財政基盤の整備は不可欠であり、特定非営利活動法人として活動することが望ましいと考え設立にいたりました。