特定非営利活動法人 前立腺がん啓発推進実行委員会
Prostate Cancer Education Council in Japan (PCEC-Japan)
特定非営利活動法人 前立腺がん啓発推進実行委員会
Prostate Cancer Education Council in Japan (PCEC-Japan)
理事長 深貝隆志
このたび我々は、前立腺がんの知識を医療関係者のみならず一般の方達にも広めるために「NPO法人前立腺がん啓発推進実行委員会」を立ち上げました。
前立腺がんは、もともと欧米では男性のがんでは最も多いがんとして知られていましたが、逆に日本では非常に頻度の少ないがんと考えられていました。
しかし、日本でも戦後、生活様式の変化、高齢化、そして診断技術の発達にともない前立腺がんは急激に増加傾向が見られています。そして2015年5月に国立がん研究センターのがん対策情報センターから公表された「2015年のがん罹患数、死亡数予測」で男性のがんの罹患数(新たにがんと診断されるがんの数)の予測では前立腺がんが 98,400人で、ついに胃がんを抜いて最も多くなることが報告されました。(胃 90,800、肺 90,700、大腸 77,900)。
このように日本人の男性のなかでもっとも多いがんとなった現在、日本のなかでどれほど前立腺がんの認識がなされているでしょうか?「前立腺がんなんて放っておいて大丈夫」「前立腺の検診など受ける必要が無い」などという声を一般の方から良く聞きます。また男性の前立腺がんとまったく同じように女性に増加していった乳がんに関しては社会も一般の方も大きく注目し乳がんの啓発活動である「ピンクリボン」という言葉は皆様も聞いたことがあると思います。一方、全く同様に増えていった男性の前立腺がんに関しては、ピンクリボンのように社会に広く認識された啓発活動は存在していませんでした。行政も「高齢の男性がかかる癌」という認識で乳がんと比較しその対策に力を入れているとは言い難く、前立腺がんの検診の普及にもむしろ消極的にさえ見える状況です。
そういった時代の中である日突然、健康診断で「PSAが高値でした。前立腺がんの疑いがあります。」そしてあっという間になんの症状もないのに「あなたは前立腺がんです。」と診断される日本人男性が日本に蔓延する状態になっています。
さらに前立腺がんと診断された方には主治医の先生から治療法には「手術」、「放射線」、「ホルモン治療」ときには「治療をせずに何もしないで様子を見ましょうか」などと言われどの治療を選んだらいいか戸惑う人もいるでしょう。またあるときはすでに診断時にすでに前立腺がんが進行し骨転移があり、なぜもっと早く検診を受けなかったのだろうと後悔する方もおられるかもしれません。
前立腺がんに関する情報は主に泌尿器科医により書かれた書店で売られている単行本、個々の病院の泌尿器科のホームページ、時には製薬会社や医療関係の企業のホームページや講演会などである程度の情報を仕入れることは可能になってきました。ただその情報量は現在激増している前立腺がん患者さんに対応するにはとても十分とは言えない状況です。
我々の組織はもともと泌尿器科医として長い臨床経験を積んできた特に前立腺がんの診断、治療に関しては日本で第一人者のプロフェッショナルな集団が、一般の方、社会の方に向けて情報を発信するために立ち上げた組織です。これまですでに存在する一般の方、またすでにがんと診断がついた患者さんを支援するいろいろな組織は、特定の製薬会社や医療機器のメーカーの支援をうけて運営されている組織が非常に多いのが現状です。我々の組織は純粋に前立腺がんに対する正しい知識を普及し前立腺がんの「早期発見、適切治療」を目指す現場の泌尿器科医の集団が公平な情報を発信する組織を目指しております。
前述したように臨床の現場に携わる泌尿器科医を中心とした臨床医の運営する組織ですので、情報の発信に関しましては非常に未熟な部分もございますが「前立腺がんで苦しむ人をこれ以上ふやしたくない」、そういった思いで活動をさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
2015年8月吉日